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横浜地方裁判所 昭和62年(わ)1261号 判決

本籍

横浜市鶴見区佃野町四〇〇番地

住居

同市中区山手町七六番地の二

パチンコ店経営

三條賢司

大正三年一一月一五日生

本籍

横浜市鶴見区鶴見中央四丁目一三番地の四

住居

神奈川県藤沢市片瀬山三丁目二七番八号

パチンコ店経営

三條真義

大正九年七月一三日生

本籍

横浜市鶴見区佃野町四〇〇番地

住居

同市同区佃野町三番五号

パチンコ店従業員

三條匡博

昭和二三年五月二六日生

右の者らに対する各所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官總山哲出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人三條賢司を懲役一年八月及び罰金四、〇〇〇万円に、被告人三條真義を懲役一年八月及び罰金三、七〇〇万円に、被告人三条匡博を懲役一年に処する。

被告人三條賢司及び被告人三條真義において右各罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日換算した期間、当該被告人を労役場に留置する。

被告人三名に対し、この裁判が確定した日から三年間、それぞれ右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人三條賢司及び被告人三條真義は、昭和五九年五月一九日ころまでは横浜市鶴見区豊岡町二番一九号所在の店舗において、その後昭和六〇年一〇月三〇日ころまでは同市同区豊岡町二番所在の仮店舗において、共同で新光ホールと称するパチンコ遊技場を経営していたもの、被告人三條匡博は、右新光ホールの営業責任者として売上利益の管理その他の経理事務を処理していたものであるが、被告人三名は、共謀のうえ、被告人三條賢司及び同三條真義の右パチンコ店経営による事業所得にかかる各所得税を免れようと企て、右新光ホールの従業員である林明夫及び劉阿水をその経営者であるように仮装するとともに、売上利益の一部を除外する方法により所得を秘匿し

第一被告人三條賢司について

一  同被告人の昭和五七年分の実際の所得金額が九、七二四万一、七〇六円であったにもかかわらず、昭和五八年三月九日、横浜市鶴見区鶴見中央四丁目三八番三二号の鶴見税務署において、同税務署長に対し、同年の所得金額が四四三万八、四七八円で、これに対する所得税額が四九万九〇〇円である旨の偽りの所得税の確定申告書を情を知らない第三者を介して提出し、もって、不正の行為により同年分の正規の所得税額五、八〇三万八、二〇〇円と右申告税額との差額五、七五四万七、三〇〇円を免れ

二  同被告人の昭和五八年分の実際の所得金額が一億四、二六五万三、五三八円であったにもかかわらず、昭和五九年三月一五日、前記鶴見税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が四三八万八、五一四円で、これに対する所得税額が四七万、六、二〇〇円である旨の偽りの所得税の確定申告書を情を知らない第三者を介して提出し、もって、不正の行為により同年分の正規の所得税額九、二〇八万二、二〇〇円と右申告税額との差額九、一六〇万六、〇〇〇円を免れ

三  同被告人の昭和五九年分の実際の所得金額が一億六八万七、一一三円であったにもかかわらず、昭和六〇年三月一五日、前記鶴見税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が四九九万一、八〇九円で、これに対する所得税額が五七万三、九〇〇円である旨の偽りの所得税の確定申告書を情を知らない第三者を介して提出し、もって、不正の行為により同年分の正規の所得税額五、七八六万二、九〇〇円と右申告税額との差額五、七二八万九、〇〇〇円を免れ

第二被告人三條真義について

一  同被告人の昭和五七年分の実際の所得金額が九、八八七万六、三四〇円であったにもかかわらず、昭和五八年三月一五日、前記鶴見税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が四七一万八、三二四円で、これに対する源泉徴収税額を差し引いた所得税額が二八万三〇〇円である旨の偽りの所得税の確定申告書を情を知らない第三者を介して提出し、もって、不正の行為により同年分の正規の所得税額五、九一二万四、七〇〇円と右申告税額との差額五、八八四万四、四〇〇円を免れ

二  同被告人の昭和五八年分の実際の所得金額が一億三、七七五万四、六四六円であったにもかかわらず、昭和五九年三月一五日、前記鶴見税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が四六五万四、一四五円で、これに対する源泉徴収税額を差し引いた所得税額が二五万二、三〇〇円である旨の偽りの所得税の確定申告書を情を知らない第三者を介して提出し、もって、不正の行為により同年分の正規の所得税額八、八二四万円と右申告税額との差額八、七九八万七、七〇〇円を免れ

三  同被告人の昭和五九年分の実際の所得金額が七、三八七万七、一五四円であったにもかかわらず、昭和六〇年三月一五日、前記鶴見税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が四五一万七、七九一円で、これに対する源泉徴収税額を差し引いた所得税額が一七万八、五〇〇円である旨の偽りの所得税の確定申告書を情を知らない第三者を介して提出し、もって、不正の行為により同年分の正規の所得税額三、九二五万五、四〇〇円と右申告税額との差額三、九〇七万六、九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  林明夫(四通)、劉阿水、渡辺嘉夫(謄本)及び陳栄輝(謄本)の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の売上調査書、三條真義利益分配金調査書及び事業所得(利益分配金)調査書

一  被告人三名の当公判廷における各供述

一  被告人三條賢司の検察官に対する昭和六二年六月二七日付、同年七月三日付(九枚綴り)及び同月六日付各供述調書

一  被告人三條真義の検察官に対する供述調書四通

一  被告人三條匡博の検察官に対する同年六月二七日付、同月二九日付、同年七月一日付及び同月四日付

(八枚綴り)各供述調書

判示第一の一の事実につき

一  所得税の確定申告書謄本(検察官請求分証拠等関係カード番号5)

一  大蔵事務官作成の所得税額計算書(同番号11)及び脱税額計算書(同番号12)

判示第一の二の事実につき

一  所得税の確定申告書謄本(同番号15)

一  大蔵事務官作成の所得税額計算書(同番号21)及び脱税額計算書(同番号22)

判示第一の三の事実につき

一  所得税の確定申告書謄本(同番号25)

一  大蔵事務官作成の所得税額計算書(同番号31)及び脱税額計算書(同番号32)

判示第二の一の事実につき

一  所得税の確定申告書謄本(同番号7)

一  大蔵事務官作成の所得税額計算書(同番号13)及び脱税額計算書(同番号14)

判示第二の二の事実につき

一  所得税の確定申告書謄本(同番号17)

一  大蔵事務官作成の所得税額計算書(同番号23)及び脱税額計算書(同番号24)

判示第二の三の事実につき

一  所得税の確定申告書謄本(同番号27)

一  大蔵事務官作成の所得税額計算書(同番号33)及び脱税額計算書(同番号34)

(法令の適用)

一  罰条 判示各所為 所得税法二三八条一項、刑法六〇条、六五条一項

二  刑種の選択 被告人三條賢司及び同三條真義については懲役刑と罰金刑を併科

被告人三條匡博については懲役刑を選択

三  罰金額 所得税法二三八条二項

四  併合罪処理 刑法四五条前段

被告人三名に対する懲役刑につき同法四七条本文、一〇条により被告人三條賢司及び同條匡博については判示第一の二の罪の刑に加重、被告人三條真義については判示第二の二の罪の刑に加重

被告人三條賢司及び同三條真義の罰金刑については同法四八条二項により合算

五  労役場留置 被告人三條賢司及び同三條真義について同法一八条

六  執行猶予 被告人三名に対する懲役刑につき同法二五条一項

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 福嶋登)

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